仏教の葬儀で授けられる戒名。
浄土真宗では「戒名ではなく法名」と呼ばれる一方で、浄土宗では戒名が授けられます。
同じ「浄土」と名のつく宗派なのに、なぜ違いがあるのでしょうか。
浄土宗の戒名には、どのような意味が込められているのでしょうか。
この記事では、仏教に詳しくない方にも理解できるように、
浄土宗の教えと戒名の関係を、他宗派との違いにも触れながら丁寧に解説していきます。
浄土宗とはどのような宗派か

浄土宗は、鎌倉時代に法然上人によって開かれた仏教宗派です。
法然上人は、「南無阿弥陀仏」と念仏を称えることで、誰もが阿弥陀仏に救われると説きました。
これを専修念仏(せんじゅねんぶつ)といいます。
法然(ほうねん)
平安時代末期から鎌倉時代初期の日本の僧である。はじめ山門(比叡山)で天台宗の教学を学び、承安5年(1175年)、専ら阿弥陀仏の誓いを信じ「南無阿弥陀仏」と念仏を唱えれば、死後は平等に往生できるという専修念仏の教えを説き、後に日本浄土宗の宗祖と仰がれた。
浄土宗では、
- 厳しい修行ができない人
- 戒律を完全に守れない人
であっても、念仏を称え、阿弥陀仏にすがる心があれば救われると考えます。
この点で、浄土宗は多くの民衆に受け入れられてきました。
浄土宗ではなぜ戒名を授けるのか
浄土宗は阿弥陀仏の救いを重視しますが、戒や仏弟子という考え方を否定しているわけではありません。
浄土宗における戒名は、
阿弥陀仏の教えに導かれ、仏弟子として浄土に往生する存在となった証
として授けられます。
つまり、
浄土真宗のように「戒をまったく重視しない」のではなく、
戒を守ることは理想だが、最終的な救いは阿弥陀仏に委ねる
という立場を取っています。
この点が、両宗派の大きな違いです。
浄土宗の戒名の基本構成
浄土宗の戒名は、一般的に次の要素で構成されます。
- 院号
- 道号
- 戒名(狭義)
- 位号(居士・大姉など)
すべてが必ず付くわけではありませんが、
浄土真宗の法名に比べると、他宗派に近い構成を持っています。
戒名には、
- 故人の人柄
- 生き方
- 念仏信仰への姿勢
などが反映されることが多く、
格式や長さよりも「どのように阿弥陀仏の教えと向き合ったか」が重視されます。
浄土宗の戒名と念仏の関係
浄土宗において最も大切なのは、あくまで念仏です。
戒名は、
「戒名があるから救われる」
「立派な戒名でなければ往生できない」
というものではありません。
念仏を称え、阿弥陀仏を信じる心こそが救いの根本であり、
戒名はその歩みを形として表したものと考えられています。
この点で、戒名は信仰の結果であって、条件ではないと言えるでしょう。
浄土真宗の法名との違い
浄土宗と浄土真宗は、しばしば混同されますが、戒名の考え方には明確な違いがあります。
- 浄土宗:戒名を授ける
- 浄土真宗:戒名は用いず、法名を授ける
浄土真宗では、戒や修行を救いの条件としませんが、
浄土宗では、戒や仏弟子という考え方を一定程度保っています。
そのため、浄土宗では
「戒名=仏弟子となった証」
という意味合いが残っているのです。
浄土宗の葬儀と戒名の位置づけ
浄土宗の葬儀は、
故人が阿弥陀仏の浄土へ往生することを願い、念仏を称える儀式です。
戒名は、その中で
「仏弟子として見送るための名前」
として授けられます。
ただし、戒名の有無や長さによって、
故人の価値が決まるわけではありません。
あくまで、遺族と僧侶がともに念仏を称え、
阿弥陀仏の救いに身を委ねることが中心となります。
まとめ|浄土宗の戒名に込められた意味
浄土宗の戒名は、
戒を守ることを理想としつつも、最終的な救いを阿弥陀仏に委ねるという教えに基づいています。
戒名は、
故人が仏弟子として浄土へ向かったことを表す名前であり、
念仏信仰の歩みを形にしたものです。
浄土真宗との違いを知ることで、
同じ「浄土」の教えの中にも、多様な考え方があることが理解できるでしょう。

第2回目の浄土宗は如何でしたでしょうか。
次回、曹洞宗もぜひお読みください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
「浄土宗」 2025年12月13日 (土) 18:12 『ウィキペディア日本語版』
「法然」 2025年10月17日 (金) 13:16 『ウィキペディア日本語版』
浄土宗【公式サイト】
新纂浄土宗大辞典 選択本願念仏集 執筆者:林田康順様
瓜生 中 よくわかる浄土宗 角川
瓜生 中 仏教と葬儀・戒名の事典 学研
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