浄土真宗の戒名はなぜ「法名」と呼ばれるのか

「民衆の仏教」浄土真宗の考え方は？

意味と他宗派との違いをわかりやすく解説します

仏教の葬儀でよく耳にする「戒名」。
しかし、浄土真宗では「戒名ではなく法名です」と説明され、戸惑う方も多いのではないでしょうか。

なぜ浄土真宗だけ戒名がないと言われるのか。
法名とは何なのか。
他の宗派と何が違うのか。

この記事では、仏教に詳しくない方にも理解できるよう、浄土真宗の教えとともに、法名の意味を丁寧に解説していきます。

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浄土真宗に戒名がないと言われる理由

結論から言うと、浄土真宗には「戒名」という考え方がありません。
その代わりに用いられるのが「法名（ほうみょう）」です。

その理由は、浄土真宗の教えの根本にあります。

多くの仏教宗派では、戒（決まり）を守り、修行を積むことで悟りを目指します。
そのため「戒を授かった証」として戒名が与えられます。

一方、浄土真宗では、人は修行や善行によって救われるのではなく、阿弥陀仏の本願によって救われると考えます。
この教えを「他力本願」と呼びます。

つまり、
「戒を守れたかどうか」
「修行ができたかどうか」
は救いの条件ではないのです。

そのため、「戒を授ける名前＝戒名」という発想自体が存在せず、
阿弥陀仏の教えに帰依した証としての名前＝法名が用いられます。

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法名とは何か｜浄土真宗における名前の意味

法名とは、阿弥陀仏の教え（仏法）に帰依した者に与えられる名前です。

浄土真宗では、
「亡くなったから仏弟子になる」のではなく、
「教えを聞き、信を得た時点で仏弟子である」
と考えます。

そのため、法名は本来、生前に授かるものです。

ただし、現代日本では生前に法名を授かる方は少なく、多くの場合は葬儀の際に僧侶から授けられています。
これは慣習上のものであり、教えそのものが変わったわけではありません。

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法名の基本構成｜「釋○○」に込められた意味

浄土真宗の法名は、非常にシンプルな形をしています。

基本形は
「釋（しゃく）○○」
です。

この「釋」は、お釈迦様（釈尊）の弟子であることを示す文字です。
つまり、「私は釈尊の教えに連なる者です」という意味が込められています。

続く二文字の名前には、

• 人柄
• 生き方
• 仏教的な願い

などが込められますが、位の上下や格式を示す意味はありません。

また、他宗派で見られる

• 院号
• 居士・大姉といった位号

は、浄土真宗では本来用いません。

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なぜ位号やランク付けをしないのか

浄土真宗では、人は誰でも等しく阿弥陀仏に救われると考えます。

社会的地位が高い人
多くの功績を残した人
そうでない人

これらに優劣はありません。

そのため、
「長い戒名のほうが立派」
「高額な戒名のほうが偉い」
といった価値観は、浄土真宗の教えとは相容れないものです。

法名はあくまで、
仏の前ではすべての人が平等である
という思想を表す名前なのです。

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浄土真宗の葬儀と法名の関係

浄土真宗の葬儀は、「成仏させるための儀式」ではありません。

すでに故人は、阿弥陀仏のはたらきによって浄土に生まれている、
その事実を仏前で確かめ、感謝する場とされています。

法名もまた、
「死後に救われるための道具」ではなく、
「すでに仏の教えに生かされている存在であったことを示す名前」
として授けられます。

この点が、他宗派の戒名との大きな違いです。

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他宗派の戒名との決定的な違い

他宗派の戒名が
「修行の結果・位・功徳」を反映する名前であるのに対し、
浄土真宗の法名は
「信心による平等な救い」を表す名前です。

そのため、

• 戒を守れたか
• 修行を積んだか
• 功績があったか

といった基準は一切問いません。

ここに、浄土真宗が「民衆の仏教」と呼ばれてきた理由があります。

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まとめ｜浄土真宗における法名の本当の意味

浄土真宗では、戒名は用いられず、法名が授けられます。
それは、戒や修行によってではなく、阿弥陀仏の本願によって誰もが救われるという教えに基づくものです。

法名は、
亡くなった後のための飾りではなく、
生きている私たちが仏の教えに出会った証でもあります。

浄土真宗の法名を正しく知ることは、
仏教の死生観を理解する第一歩と言えるでしょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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